◆『脳内現象 (NHKブックス)』茂木健一郎(2004年) ★認識論モデル 《まとめ》意識の中で感じられる世界は、〈私〉に中心化されている。物質の質量は、視点を特定することなくその存在を論じることができる絶対的な存在だが、クオリアは、それを感じる〈私〉という視点に相対的にしか成立しない。すなわちマッハの原理からクオリアに満ちた意識が生み出されるモデルは、存在論的というよりは認識論的でなければならない。 オリジナルのマッハの原理では、各粒子の関係性からそれぞれの質量が決定される際、ある特定の視点を仮定する必要はなかつた。どんな立場から見ても質量は質量であるような、「公共性」を帯びたものであった。 一方、クオリアに満ちた意識が生み出される過程には、このような公共性がない。〈私〉が感じる赤のクオリアは、あくまでも〈私〉という主観にとって赤のクオリアなのであり、第三者にとってはそうではない。〈私〉