1614年、徳川家康は難攻不落の大坂城に攻め込んだ。世に言う大坂冬の陣である。このとき、家康はまず城の堀を埋めるという慎重な作戦を取った。 400年の時を経た大阪の女は、真田丸に立て篭もる武将を引きずり出して、外堀に埋めて突き進む強さを持つようになった。 家に引き篭もっていたワタクシを無理やり引きずり出した嫁とは、デキちゃった結婚だった。今は授かり婚というのか。 嫁は当時、会社勤めをしていて出会いに恵まれず35過ぎるという、9回裏2アウトランナーなしのまま、試合終了の大ピンチを背負っていた。ワタクシの方は、30過ぎてただのアルバイトというベンチの補欠状態だった。 最後の記念に、代打に出してもらったワタクシは球場の駐車場に停めてあるベンツのフロントガラスを叩き割る特大ホームランをかっ飛ばしたという話である。 が、ベンツが道を極めた方のクルマだった気がする。 新しい命が宿り、生まれて来ることを