(2012年5月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) スペインのマリアノ・ラホイ首相は就任時に、納税者のお金はもう1ユーロたりとも銀行部門の救済に使わないと断言した。だが、スペインの預金の10%を保有する貯蓄銀行バンキアの危機で、首相は目を背けてきた重大な問題と対峙せざるを得なくなった。 スペインの銀行部門は、不動産市場の崩壊以降、多額の資金を調達してきたにもかかわらず、いまだに深刻な資本不足に陥ったままだ。 政府による強制的な業界再編策と強制評価減による540億ユーロの損失処理は、10年間にわたる不動産騒ぎの行き過ぎと向き合い始めるよう銀行に圧力をかけたかもしれない。だが、それでも銀行部門が抱える不動産問題の真の規模には対処できなかった。 景気後退が進むにつれ、不動産と土地の価格は暴落している。今では、これまで優良債権だった融資の価値さえ疑わしくなっている。 不動産バブルの大きなツケ