意外と通用しない我々の経験則 我々は日常生活においても、科学的なアプローチにおいても、しばしば滅多に起こらないことが結果に与える効果を無視しようとする。 例えば計量経済では、前処理としてしばしば異常値を取り除いてから計算し、計算式でも小さな変数を取り除いたりする。そうでないと経済モデルの説明度が下がってしまうし、異常値が異常値である理由も考えなくてはならないからだ(それでは論文提出の期限に間に合わない!)。 科学の世界でさえ、物事は“普通のこと”にある程度純化された上で考えられ、“普通の時”にあまり目立たない要素は省かれる。大数の法則※が成り立たないような日常生活でも、我々は普遍性を持ち込み、シンプルなモデルを勝手にでっち上げて、黒い白鳥の存在を忘れてしまうのは仕方がないのかもしれない(筆者の悪い癖でもある)。 いや、何も筆者は「経験則が役に立たない」とか、そういう諦観(ていかん)を披露し