研究員 高橋 康二 研究活動の基本は、研究対象を定義することである。しかし、これが意外とむずかしい。筆者が現在かかわっている「契約社員」の研究においても、このことはあてはまる。 言葉を入り口として 最近、「契約社員」という言葉をよく耳にするようになった。『朝日新聞』の記事データベースによれば、同紙において「契約社員」という言葉が使われた回数は、1984年には1回であったが、1990年には13回、2000年には119回、2008年には299回と、急速に増加している。他紙のデータベースを用いても、その趨勢は同様に読み取れる。 総務省統計局が5年おきに実施している「就業構造基本調査」においても、2002年調査から「契約社員」という言葉が調査票に盛り込まれるようになった。「契約社員」が独立したカテゴリーとなった2007年調査によれば、「契約社員」と呼ばれている人は全国に225万人おり、「派遣社員」