「社会にとって価値ある人間になりたい」――と、誰かが言った。それでいいだろうか、私は疑う。 昔、「人を一人殺せば人殺しであるが、数千人殺せば英雄である」と言った人がいる。そういう時代が、社会があった。そこでは「人をたくさん殺すこと」が社会にとっての価値だったんだろう。 社会は時代の中で移ろい変わりゆく。そして「私」と社会は違うものである。ならば社会の求めるものが結果として私を殺すことにだってなるかもしれない。 社会にとって価値ある人間を目指すのは、社会とぴったりくっつくことではないか?社会に依存しきった状態。それは怖い。 「社会」を「他者」に置き換えてみる。他者に依存しきって他者と自分が同じであるかのように錯覚した状態。そういう状態は危険だと「彼女」は言った。 「心も体も密着しすぎて 彼女のこと別の人間と思えなくなっちゃったんじゃないですか?」 「そういう一心同体の感覚 すごーーく気持ちい
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