ここ数週の休載をお詫びする。 このコラムで、常連になってしまったこの文章も、もう二度と書くことはないと思う。そう思いたい。 ともかく、先々週は体調がすぐれずベッドに横になってうとうとしていたら、暗闇で電話。 受話器を探りながら出てみると、コラム担当の方からだった。 ベッドサイドの明かりを点けて、時計を見ると締め切りの時間はとうに過ぎていた。 「調子が悪くてすいません」 毎度のことで察していただいたのか 「はい、わかりました」 と言っていただけたかどうか記憶にないが……というのも、受話器を置いた途端、ベッドからこけ落ちてそのまま気絶。路上で倒れて救急車で運ばれたことはあったが、自分の仕事場では初めてである。翌朝、気がついたが、体中の節々が痛く、ベッドサイドの床から動けない。 仕方ないから、手の届く範囲にあったものでしのいだ。例えば冷蔵庫には手が届いたし、ノートパソコンは枕元にあり、指がうまく