どうやら、「反出生主義」と聞くと反射的に不快な感情を抱く人が多いようだ。確かに、内容をよく知らずに字面だけを見ると自分が不幸に暮らしているだけの人がその主観を人類全体に拡大して「産むな」と生命そのものを呪っているような印象を受けるかも知れないし、実際にそういう側面もあるだろう。生まれたこと、存在していることが幸福であるか苦痛であるかなんてその本人にしか決められないし、場合によっては本人にも分からない。しかしそれは逆に言えば、産んでおけば何がなんでも感謝してもらえるわけでもないということを示している。 それはともかくとして、どっちにしろこの反出生主義という考え方は時代にマッチしていてとても有用な側面があり、脊髄反射で否定するには勿体ない代物ではないかと思う。なにも反出生主義という立場に立って、その思想に同調しなくとも、視点として持っておくだけでよいのだから。 ”とりあえず”産むか産まないか