泣けない。 父の日が近付いたくらいじゃ、泣けないのだ。 子供の頃の私は、泣いてばかりいた。 泣けば、泣くなと酷く叱られてまた泣いた。 学校で意地悪されても、揶揄われて恥ずかしくても、悔しくても、怖くても、腹立たしくても、ただ泣いた。 泣くのを我慢して、我慢して我慢して我慢しても涙は勝手にぽろぽろこぼれるから結局は泣いて、泣き始めたら最後、涙と嗚咽がなかなか止まらない。 これは本人も、本当に困り果てた。 何時間も泣き続けた話ならいくらでもあって、ここでも書いた。 中学の修学旅行では、些細な事を担任に叱られ、変なプライドが傷ついて泣いた。 途方もなく悔しくて、旅館の布団にもぐって何時間も大泣きして、同室の全員を寝不足にした。 この時の事は、半世紀近くも反省している。 小学1年の、初めてもらった通信簿の所見欄に 「感受性が強く、少しの事ですぐに泣く」 と書かれていた。 これを書いたチエコ先生は4