これまで説明してきたGHCの並列化機能は,いずれもスレッドやプロセスのような並行実行の仕組みを抽象化の内側に隠ぺいしたものでした。しかし,このようにユーザーの目から詳細を隠してくれる特徴が,かえってわずらわしく思えることもあります。 GHCの並列化機能は,「ある一つの計算の処理速度を向上させる」という目的を直接的に反映したものです。このため,処理速度の向上以外の部分には,十分に手が届かないこともあります。例えば,グラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)などを実現するための対話的なプログラムでは,「ある一つの計算の速度を向上させる」だけでは,プログラム全体の反応速度を思うように上げられません。プログラムをうまく制御して全体での速度向上を目指すことが重要だからです。しかし,これまで説明してきた並列化機能には,こうした制御を実現するのに必要なセマンティックス(意味論)は特に規定されていま
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