平均所得を増やし、国民の購買力を高める高度成長には段階があり、最初は家電の導入で家庭生活を充実させることから始め、次いで車と持ち家を手に入れ、次に教育に力を入れ、海外旅行熱が高まったところで完結し、その後は成長率の鈍化とともに内向きになる。戦後、海外旅行が自由化されたのは東京オリンピックが開催された一九六四年で、それ以前は国費留学するか、外交官になるか、商社マンになるくらいしかその機会はなかった。 北杜夫は船医として漁業調査船… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 この記事は有料会員記事です。