「かんぽの宿のオリックス一括売却は「問題」か?」の記事を書いた後、多くのメールをもらった。「構造がよく分かった」という意見が大部分だったが、「疑問」も投げかけられた。その中で最も多かったのが、「なぜオリックスは、かんぽの宿を高値で買おうとしたのか」というものだ。率直にいうと答えは分からない。しかし、合理的な推測をするなら「義理を売った」ということだろう。つまり、日本郵政との取引実績を作るのが目的である。かつて富士通などが、役所の管理システムの構築を「1円落札」したのと同じである。 日本郵政というと、傘下にゆうちょ銀行、かんぽ保険会社、郵便事業会社などを抱える「巨大独占企業」と思われがちだが、実態は異なる。郵便事業(手紙や小包などの集荷・配達)は、民間のヤマト運輸、佐川急便などにシェアを奪われ続けている。収益の柱である金融二社も、10年前に総額350兆円になった貯金残高、簡保資産残高は、年々