【モスクワ=遠藤良介】ボストン爆弾テロ事件の容疑者がロシア南部チェチェン共和国近辺の出身だと報じられたことで、国際社会で同共和国などロシアの北カフカス地方が国際テロリストの温床となることへの懸念が強まる可能性がある。同地方では、ロシアとの2度の独立戦争を経たチェチェン共和国の情勢が比較的安定した一方、周辺に拡散した武装勢力がイスラム色を強め、国際テロ組織アルカーイダとの関係を深めているとも指摘されている。 プーチン露大統領は第2次チェチェン戦争(1999~2002年)の終結後、チェチェン共和国の強権統治を独立派ゲリラ出身のカディロフ首長に委ね、テロリスト掃討作戦を強化した。連邦から巨額の復興資金をつぎ込んだこともあり、同共和国でのテロは急減した。その一方で武装勢力はイングーシやダゲスタンなど北カフカス地方一帯に広がり、かつての「チェチェン独立強硬派」からは変質した。 10年3月のモスクワ地