5月中旬にプーチン首相が来日した際、イタリア・サミットでは領土問題解決に向けて踏み込んだ対話を行うと両国が合意している。 サミットで本当に何らかの妥協点を見出して、問題を解決することができるのか。当初から疑問の声はあったが、ここ3週間の経緯を見ると、かなり悲観的にならざるを得ない。ご存じのように麻生太郎首相の「不法占拠」発言があり、それに対してロシアが激しく反発したのだ。 ロシアの激しい反発をどう理解すればいいのか。ロシアにとって問題となったのは、発言の場所とタイミングである。 新宿西口の広場ではなく国会で、また首脳会談の直前の時期に、麻生総理は「北方4島は我が国固有の領土」「ロシアによる不法占拠が続いていることは極めて遺憾だ」と原則論的な立場を繰り返した。 5月30日には記者団の質問に答えて、「日本が独立した昭和27年から、(日本政府は)ずっと同じことしか言っていません」と述べた。そして