住所や名前の分からない死者は「行旅死亡人」と呼ばれる。兵庫県尼崎市のアパートで2020年4月、孤独死した女性は室内の金庫に現金3400万円を遺していた。この女性は一体、誰なのか。取材した共同通信記者、武田惇志さんと伊藤亜衣さんの共著『ある行旅死亡人の物語』(毎日新聞出版)より、一部を紹介する――。 現金3482万円を遺した謎多き女性 「本籍(国籍)・住所・氏名不明、年齢75歳ぐらい、女性、身長約133cm、中肉、右手指全て欠損、現金34,821,350円」 行旅死亡人の引き取り手を呼びかける、官報の公告記事が発端だった。相続財産管理人の太田弁護士によると、「田中千津子」さんとみられるこの女性は謎が多く、「弁護士を22年やってるが、かなり面白い事件」らしい。
![「金庫に現金3400万円、右手指は全て欠損」孤独死した身元不明女性が遺した"多すぎる謎" アパートの家賃は3万1500円、大家も誰なのか知らなかった](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/70e100ae71e271e150e00291ba59ae558e219046/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fpresident.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F5%2Fc%2F1200wm%2Fimg_5c3099a9dcdda4f89baa4ed59a200662932482.jpg)