村上世彰氏が起訴された。案の定「聞いちゃった」という記者会見のストーリーは、検察の証拠で崩され、故意を認めて「完落ち」した、というお粗末だ。この筋書きは、ほとんど『ヒルズ黙示録』と同じだが、違うのは、大鹿記者がライブドアの「決断」を05年1月17日としているのに対して、当の村上氏がそれを04年11月8日までさかのぼる検察の筋書きを丸呑みしたことだ。 常識的には、ライブドアがまだニッポン放送株を買っていない段階で、一社員から「願望」を聞いただけで、それを「5%以上買い占める」という重要事実だと認定するのはむずかしいはずだが、検察には決め手があったらしい。NHKのニュースによれば、「N社について」という企画書とは別に、04年11月に「ITとメディアの融合をうたった事業計画書」(*)を村上氏が書いてライブドアに渡していたという。これが事実なら、相手がそれに同意すれば重要事実と考えても無理はない