南アフリカW杯から歴代最長の約8年間、日本代表を牽引したリーダー・長谷部誠は、個性派揃いのチームを勝利に導くため、いかに尽力し、自らを整えたのか。終始柔らかな表情で、現役時代には語ることのなかった胸の内を明かした。発売中のNumberに掲載された長谷部誠ロングインタビューの一部を抜粋して特別に公開します。
バットの芯で捉えた“いい角度”の打球が空中で失速し、フェンス手前で外野手のグラブに収まる――熱心なプロ野球ファンなら、今季どこかでそんなシーンを目撃した記憶があるのではないだろうか。 異例の事態「ホームランが消えている」 6月14日の試合を終えた時点で、セ・リーグの平均打率は.235、1球団あたりの1試合平均得点は3.02。同パ・リーグの平均打率は.240、平均得点は3.22と、近年まれに見る“投高打低”だった昨季をも下回る超低水準となっている。打率3割を超える打者はヤクルトのサンタナ(.319)、ソフトバンクの近藤健介(.341)、日本ハムの田宮裕涼(.335)と、セ・パを合わせて3名しかいない。 さらに深刻なのが「野球の華」とされるホームランの減少だ。過去半世紀の記録を遡ると、規定の反発係数(※打球の飛距離を左右するボールの跳ね返りやすさ)を満たしていない“違反球”が使用された2011
「野球をやっていたことを知らない人が9割なので」 まだ桜がつぼみのまま閉じこもろうとしていた3月中旬、神戸の生田神社の近くにあるカフェで、ある翻訳家と話す機会があった。じっくりと向き合うのは久しぶりだった。あの頃をどのように過ごし、いまをどのように生きているのか……。彼と別れてから、ボイスレコーダーを聞き直した。ふと脳裏をよぎったのは、かつて読んだ本の一節だった。 《人間はひとりひとりがそれぞれじぶんの時間をもっている。そしてこの時間は、ほんとうにじぶんのものであるあいだだけ、生きた時間でいられるのだよ。》(ミヒャエル・エンデ『モモ』岩波少年文庫、大島かおり訳) 翻訳家の朝は早い。彼とLINEでやり取りする時、メッセージが届くのはいつも午前4時である。海外と業務の打ち合わせをするために早起きするのだという。世の中が寝静まっている夜明け前に動きだすようになってから、ずいぶんの時が経つが、この
38年ぶりの歓喜は、岡田彰布監督の口癖「当たり前」から生まれた――。今年の日本シリーズは阪神が4勝3敗でオリックスを破り、球団史上2度目の日本一に輝いた。デイリースポーツonlineを参照すると、昨年の就任から日本シリーズ終了までの間、岡田監督は32回「当たり前」と発していた(記者コラムでの登場を除く)。このフレーズが選手にもたらした影響、そして芸人でさえマスターしていないオリジナルのノリツッコミなど“岡田監督の当たり前”を分析した。 岡田監督は「そらお前」「当たり前やんか」「はっきり言うて」などファンの興味を惹く口癖をいくつも持っている。「はっきり言うて」といいながら、あまり「はっきり言うてない」疑惑は拭えない。しかし、「当たり前」を使う時は、本当に「当たり前」のことしか言っていない。まず、選手への意識付けのフレーズとしての用法から見てみよう(引用元はデイリースポーツonline/左から
“自信”を植え付けるためのハードワーク エディー・ジョーンズ(以下、EJ) 今日はお話しできるのを楽しみにしていました。オリンピックでの成功、おめでとうございます。フィジカルで劣る日本が、あれだけの戦いを見せたことは本当にファンタスティックでした。それに、男子代表ヘッドコーチの就任が決まったそうですね。 トム・ホーバス(以下、TH) そうなんです。私はチャレンジが好きなんです。「男子をコーチした経験がないじゃないか」という声も聞こえてきますが、そんなの関係ない(笑)。バスケットボールはバスケットボールであり、コーチングとは人間との関係性を築くことに変わりはありませんから。 EJ その通りですね。競技は変わらないし、人間を成長させるプロセスも変わりませんから。
アルヒラルに要求した(とされる)付帯条件が、これまた凄まじい。部屋数25以上の豪邸、ランボルギーニ、ベンツなどの高級車8台(車種まで指定している)、プライベートジェット、使用人5人の常駐などなど――。これほど多量の物質とサービスを求める理由は、恋人ブルーナさん(彼の子供を妊娠中で、来年初めに出産予定)と一緒に住むほか、両親と妹、さらには個人スタッフ数人が同居したり頻繁に訪れるからだ。 さらに、「自身のSNSでサウジアラビアに関する(肯定的な)ニュースを発信する度に、50万ユーロ(約7900万円)を受け取る」という報道もある(フランスのスポーツサイト「フットメルカート」)。 今月上旬、アルヒラル入りの噂が流れたことがあった。ただし、それは「移籍直後、古巣バルセロナへ貸し出される」という条件付き。バルセロナが財政危機にあり、なおかつファイナンシャル・フェアプレーに抵触する恐れがあることから捻り
青春の押し付け問題 大人が選手を自分好みのストーリーに当てはめようとする、いわば、青春の押し付け問題。これも高校野球が抱える、そして解決していかなければならない大きな課題の一つです。高校野球はシンプルに言えば、高校生がただ野球をやっているだけですが、真夏の風物詩やお祭りのように捉えている人が多く、もはや非常に巨大なエンターテインメントとなっています。新たなヒーローの出現や感動的なゲームを望むファンがいて、また、それを売り込んでいこうとするメディアの存在もある。そこで過剰に膨らまされたドラマに、それを望むファンが喜んで食いつく。こうした土壌が高校野球にはあると思います。 そしてそれを支えているのが、春と夏の全国大会が公共放送で全試合生中継され、その面白さを全国民レベルで共有できてしまうところなのです。一部からは「試合が面白いのだから、いまのままでいいじゃないか」という意見も聞かれますが、それ
巨人・久保康生巡回投手コーチの“魔改造”に迫る第2回は、データが氾濫する中で、どう若い投手を育てていくべきなのか? 久保コーチの視点と巨人の若手投手の“魔改造”の進捗状況を聞いた。〈全2回の#2/#1へ〉 日本中を熱狂に巻き込んだワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の優勝。その舞台裏を宮崎キャンプから取材していて印象に残ったことの1つが、ダルビッシュ有投手や大谷翔平投手が1球ごとにデータを精査しながら投球練習を行う姿だった。 2人の姿に感化されたように代表メンバーの投手たちも、ボールの回転数や回転軸の傾き角度などの数値チェックを投球練習の中でさらに重視するようになった。大会後に何人かの投手からは「データの活用の仕方が勉強になった」という証言も聞いた。
わずかに残されていた決勝トーナメント進出の可能性は、日本のグループステージ最終戦の翌日、ウルグアイがチュニジアに1-0で勝利したことで、完全に断たれた。 冨樫剛一監督率いるU-20日本代表は、1勝2敗の成績でアルゼンチンから去ることになった。 アジア予選を通過してU-20W杯に初めて出場したのが95年のマレーシア大会。以降、9度の本大会出場でグループステージ敗退を喫したのは、今回が2度目だ。1度目の01年大会の開催地もアルゼンチンだったのは、なんの因果だろうか。 「世界との差を見せ付けられた」イスラエル戦 5月21日、セネガルとの初戦に勝利して好スタートを切った冨樫ジャパンだったが、コロンビア戦、イスラエル戦といずれも先制しながら後半に逆転されてしまった。 イスラエル戦にいたっては68分に相手が退場者を出し、グループステージ突破に向けて大きく前進したにもかかわらず、反撃を許してスコアをひっ
佐々木朗希の2試合連続パーフェクト達成「未遂」の裏には、今だから明かせる真実があった――。2018年から5年間に渡って千葉ロッテマリーンズを率い、稲尾和久監督以来36年ぶりの2年連続2位も達成した井口資仁・前監督がNumber Webの取材に応じた。(全3回の2回目/#1、#3へ)※敬称略。名前や肩書きなどは当時 ◆◆◆ 井口監督時代の「ドラフト戦略」 最下位のロッテを引き継いだ井口資仁監督は就任1年目から5位、4位と順位を上げ、3年目にはソフトバンクと優勝争いを演じて2位。翌年はオリックスにわずか2.5ゲーム差の2位と着実にチームを押し上げた。昨年はレアード、マーティン両外国人の不振もあって5位に沈んだが、『2025年までに常勝チームを作る』という球団のプロジェクトを着実に前に進めた。 井口監督時代、ロッテはどのようなドラフト戦略を立てていたのか。
スライダー。これまで主体としていたのは侍ジャパンの壮行試合(対中日)で自己最速を1km更新した最速165kmの直球と、最速150kmのフォーク。現時点でもスライダーは第3の球種に変わりはないが、その質は大きく変わった。 投球の幅を広げる――。WBCだけでなく、1年間先発ローテーションを守ってチームの優勝に貢献するために、精度を高めることが必要だと感じた球種がスライダーだった。これまでは、吉井理人監督が米大リーグ時代に得た知見をもとにした助言も参考に、昨秋以降、春季キャンプを通じて取り組んできた。さらに侍ジャパン合流後はダルビッシュ有投手(パドレス)から投げる感覚や握り方などを学んだ「ダル直伝スライダー」も試投。2月17日に始まった宮崎強化合宿から、優勝の喜びを味わった米国まで続いた約1カ月間の“ダル塾”が実りとなった。
昨季、26年ぶりの日本一を達成したオリックス・バファローズ。その躍進を陰で支えてきたのが、13年間チームに在籍したブルペン捕手・瓜野純嗣(うりの・すみつぐ/38歳)だった。 今季から活躍の場所をソフトバンクに移した男は、なぜ信頼を勝ち取ることができたのか。なぜブルペン捕手という道を選んだのか。NumberWebでは、その軌跡に迫るべくインタビューを行った。全2回の1回目(#1から読む) そんな熱い男も、野球から離れたことがあった。 高校時代は部員が100人を超える強豪校で主将を務めたが、体罰も辞さない厳しい指導に疲弊し、野球の楽しさを忘れてしまった。大学でも野球部に所属したものの熱が入らず、退部し、大学も中退。車の整備の仕事に就き、約3年間、野球とは一切関わらなかった。 ベテラン投手の指摘「テンポ悪すぎ」 だがある日、福岡のテレビ番組の企画で、萩本欽一さんが率いる茨城ゴールデンゴールズと試
昨季、26年ぶりの日本一を達成したオリックス・バファローズ。その躍進を陰で支えてきたのが、13年間チームに在籍したブルペン捕手・瓜野純嗣(うりの・すみつぐ/38歳)だった。 今季から活躍の場所をソフトバンクに移した男は、なぜ信頼を勝ち取ることができたのか。なぜブルペン捕手という道を選んだのか。NumberWebでは、その軌跡に迫るべくインタビューを行った。全2回の1回目(#2につづく) 「めちゃめちゃ寂しいです。僕を支えてくれた1人なので。ウリさんは筋が通っている人。一生懸命に、いつも選手を見てくれていて、すごく助けてもらいました」 その言葉に瓜野の生き様が凝縮されている。 ナイターの日でも朝から球場入り 「裏方のプロフェッショナルになる」 その矜持のもと、瓜野は選手に、チームに尽くした。 「球場に13時間近くいるブルペンキャッチャーってたぶんいないんじゃないですかね」と笑っていた。 ナイ
所属するパドレスの開幕は日本時間31日のロッキーズ戦に迫っている。1年間、先発ローテーションの柱として期待されているダルビッシュは、自身の新シーズンのスタートに向けて、東京ドームのマウンドで投じた27球に加え、「+3イニング」を想定した球数をブルペンで投げ込んでいた。 「みんなの明るい顔が見たい」 9回、クローザーの大勢が最後のイニングを締め、9-3と快勝を喜ぶハイタッチの儀式が始まると、36歳の右腕はブルペンから駆けつけその列に加わった。5大会連続となる日本代表のベスト4進出という結果以上に嬉しかったのは、ロッカールームで目にした若い選手たちの笑顔の輪だった。 「アメリカの地を踏んだことがない選手もいっぱいいる。試合が終わった後、みんながアメリカに行けるのが嬉しい、って言っていたので、日本にいる時以上にみんなの明るい顔が見たいなと思っています」 そう話すダルビッシュは、穏やかな笑顔を浮か
「日本に勝つ確率? 0.1パーセントだよ」 今から19年前、アテネ五輪前に取材したFIBS(イタリア野球ソフトボール連盟)のマッシモ・フォーキ副会長は、戦う前から半ば諦め顔だった。五輪初戦での対戦が決まっていた日本は「逆立ちしても勝てない大国だ」。 同時に取材した代表投手2人も、日本野球への畏敬の言葉を率直に並べた。 「打者のスイングが素晴らしい。印象的なのはヒッティングした後の走塁動作だ。一歩目へのスピードがものすごく速い」 「投手陣も含めてだけど、日本のチームは試合の“流れ”をコントロールできるところが恐ろしい。のんびりやっていたかと思うと、局面でいきなり攻撃と守備の強度を上げてくる。試合のリズムの変化に自分たちは対応できない」 当時の代表はそのほとんどが、サッカーや他の競技同様「セリエA」と呼ばれる国内1部リーグの選手たちで編成されていた。ロースター中、北米組は数えるほどしかいなかっ
地中海の国にある野球の世界は驚きに満ちていた。 セリエBといえば聞こえはいいが、もちろんプロじゃない。トップチームの仲間たちは当時30歳になったばかりの僕とほぼ同年代で皆、本業を持っていた。 主将で遊撃手のアントニオは印刷屋。アメリカかぶれなので「俺のことは“トニー”と呼べ」と全員に命じていた。控え捕手のフランチェスコは薬剤師で、いつも練習帰りに「乗ってくか」とベスパの後ろに乗っけてくれたナイスガイだ。もう一人いる別のフランチェスコは無職の主戦投手で、本人曰く「俺のストレートは最高速130キロ」だが、スピードガンがクラブにないので信憑性がなかった。ついでにスタミナもなかった。 練習は週3度で、週末に試合というルーティン。移動は分乗。決まった集合時間はなく、各自が仕事の都合に合わせて可能な時刻に三々五々集まった。スーパー店員、運送屋、PCサービス等など、それぞれの職業はバラバラだったが、野球
野球 MLB 侍ジャパン ヌートバー母「WBCはラーズの甲子園」土まみれで全力疾走、球場が揺れたダイビング…大活躍のウラに母の直言「日本のしきたりになれなきゃ駄目よ」
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く