それは、漫画というストーリーテリングのスタイル自体、小説はもちろん映画や他の表現手段に比べ新しいものであったこと、そして風刺漫画を除いた現代漫画の出発点の読者が子ども達であったことに対するコンプレックスに由来しているのではないでしょうか。現代漫画の潮流を気付いた手塚治虫は映画というメディアへの憧れを隠しませんでした。編集者や同業者への私信が登場するというのはそこに「大人」の存在を匂わすことでもあります。要するにそのことで漫画は何を目指したかというと、「物語るメディアとしての次数を高める」ということだったにちがいありません。劇画の誕生や、メタ漫画の発生もそのことと無関係ではないはずです。作者より目下である読者に対して、より高次元のものを提示する見栄、もしくは別の読者に評価されたいという作家性が漫画にもたらしたもののひとつがメタ手法だったのではないでしょうか。バクマンも当然そのようなもののひと