初の短編集なのです デビューから十年近く、滅多なことでない限り短編というものを書かかずにいました。しかしちょっとした心境の変化もあって、いよいよ挑戦してみたのが本作の始まりです。満を持して、と言った感じでしょうか。 当初から家族にまつわる作品群としてまとめるつもりでいました。三つの家族の物語なのですが、『ジャトーミン』では父を書き、『無花果カレーライス』では母を、そして表題作の『ドライブイン蒲生』で姉(つまり姉弟)を書くということで、この本全体も、大きな家族のようなものにならないだろうかと願いながら書き続けてきました。 短編集として刊行するのはこれが初めてになります。また、収録作で初めて芥川候補になったこともあり、思い入れたっぷりの本に仕上がりました。自分で言うのも何ですが、宝物です。ある意味では僕の「もうひとつのデビュー作」、と言えるかもしれません。