東京財団上席研究員 筒井 清忠 東日本大震災の復興では政治家によるリーダーシップのあり方に加えて、復興対策を進める組織づくりが論点となっています。その多くが関東大震災の震災復興に着目し、第2次山本権兵衛内閣の内務大臣だった後藤新平が復興対策のリーダーシップを振るい、後藤の主導によって創設された「復興院」によって東京の復興対策が進んだと強調しています。さらに、今国会で成立した復興基本法では、復興院を参考にして「復興庁」の新設も決まりました。 しかし、筒井清忠上席研究員は関東大震災後の政治状況と後藤の動向を詳しく分析し、当時の政局の関心は震災復興よりも普通選挙実施や新党結成にあったこと、内閣の中心的な存在だった後藤が新党結成に失敗して政治的な影響力を失ったこと、その結果として復興院が短命に終わったことなどを考察する論考をまとめました。 東日本大震災の後、後藤新平と復興院の名が称揚されることが多