大島弓子
2000年11月8日に大阪で潜伏中に逮捕された日本赤軍リーダーの重信房子の歌集が出版された。重信は公判中の身で,現在小菅の東京拘置所に収監されている。東部鉄道伊勢崎線に乗って草加市方面に向かうと,荒川を越えた所に遠望できる東京拘置所は最近改築され,屋上にヘリポートまで備えたハイテク拘置所になった。その超近代的佇まいは荒川周辺の牧歌的風景にははなはだしく不調和だ。近くを通るたびにそう思う。 この歌集に収録された短歌を作ったのは重信房子だが,この歌集を編んだのは本人ではない。重信の弁護を担当している大谷恭子弁護士である。重信は改築前の東京拘置所の独房にいた時に,房の前にあるサクラの木を歌に詠んで大谷弁護士に送って来たという。それが始まりとなり,その後作られた短歌の数は3,548首に及ぶ。『ジャスミンを銃口に』は大谷弁護士の選歌という作業と,編集者によるプロデュースという作業を通過して,
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