今年の1月、角川oneテーマ21の一冊として『7大企業を動かす宗教哲学』という本を刊行した。これは、宗教学の立場からの企業研究で、パナソニックからはじめて、ダイエー、トヨタ自動車、サントリー、阪急、セゾングループ(無印良品)、ユニクロといった代表的な企業を取り上げて、その経営哲学について分析を加えたものである。 この本を書くために、2年間研究会を続けたが、取り上げた企業のなかでもっとも興味を引かれたのがトヨタのあり方だった。トヨタと言えば、「かんばん方式」、あるいは「トヨタ生産方式」が名高いが、徹底して無駄を省こうとして作り上げられたシステムは、想像を絶するほど精緻で、効率的であり、これほどシステム化された企業は他にあり得ないという印象さえ受けた。 そして、分析を進めるなかで、私の頭のなかに浮かんできたのがヤマギシ会の存在だった。本のなかでは言及しなかったが、ヤマギシ会の仕組みとトヨタの仕