源氏の子孫 最近はあまり聞かなくなったが、私が子供のころは、源氏や平氏の子孫だという年配の人がときどきいた。「うちは源氏側だからね」みたいなことを言うわけだ。数百年のときを越えて源氏や平氏の血脈が受け継がれているなら、それはたしかに魅力的な話である。 それから中学生ぐらいになって、すこしは遺伝の仕組みがわかってくると、そういう話がアホらしく思えてくる。かりに本当に源氏の子孫だったとしても、源氏の血脈はだんだんと薄まっていくから、もうその年配の人にはほとんど受け継がれていないだろう。昔になればなるほど、その血脈はすでに薄まっていると、私は考えたわけだ。 でも、よく考えてみると、そう単純な話ではなさそうだ。 私たちのDNAはおよそ60億もの塩基対を含んでおり、すべてのDNAを1本につなげると約2メートルになる。しかし、実際には細胞の中で46本に分かれている。この46本は、タンパク質などと結合し
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