これは気候がまだ十分に暖かくなる前の話である。 アメリカ、ミズーリ州から隣のアーカンソー州に釣りに出かけたビル・シェイバーさんは、帰り道の運転中に、川べりのひなびた休憩所に車を停めた。トイレに行きたくなったのである。 あたりに人影はないし、車を離れるのはホンの1、2分だ。そこでビルさんは、捨てようと思ったゴミの袋を手に車から降り、歩き出した。エンジンはかけっ放し、ドアは開けっ放しで。 さて、ビルさんが戻ってきた時にも、車はまだそこにあった。盗まれても壊されてもいない。車上荒らしにあった形跡もなさそうだ。 だがしかし。 車の助手席では、思いもかけない客がビルさんの帰りを待っていたのだった。