電力を気体分子の運動エネルギーや熱、もしくは化学ポテンシャルとして貯蔵するのが「圧縮空気(CAES)」や「液化空気(LAES)」である。これまでは立地場所の制約に加えて、圧縮時の熱損失の大きさが深刻な課題だったが、ここへきて実現手法のさまざまな工夫が実り、それらの課題を解決しつつある。日本企業が事業に参画する例も増えてきた。 圧縮空気を利用したエネルギー貯蔵システムCAES(Compressed Air Energy Storage)も、他の蓄エネルギーシステム同様、1978年の最初の実用化から40年以上経った今になって、刷新に向けて動きだした。CAESは、“充電"時にコンプレッサーを駆動させて電力を圧縮空気に変換し、発電時には圧縮空気が膨張する力によってタービンを回転させて発電するシステムだ。 ただ、従来のCAESには、(1)岩塩層†がある地域でしか使えない、(2)圧縮空気を火力発電所の