国立環境研究所の研究グループは、平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴う事故によって東京電力福島第一原子力発電所(以下、福島第一原発)から放出された放射性物質(ヨウ素131とセシウム137)の大気中における輸送沈着シミュレーションを実施した。シミュレーションには、米国環境保護庁で開発された三次元化学輸送モデル(CMAQ)を改良して利用し、図1の領域(水平分解能6km)において放射性物質の放出・移流・拡散・乾性沈着・湿性沈着(*2)の過程を計算した。放射性物質の性状や物理化学特性は沈着速度を決定する重要な要素だが、本研究ではヨウ素131はガス態と粒子態の割合が8:2で、セシウム137は全て粒子態と仮定した。放射性物質の放出量とその時間変化は日本原子力研究開発機構による推計結果(*3)を用いた。 計算された沈着量と、文部科学省による定時降下物の観測データとの比較結果を図2に示した。この