かつて中国国内では日本の映画がブームを起こし、アニメは社会現象になった。しかしメディア環境などの変化に伴い、日本のサブカルチャーは急速に影響力を失っていると古市雅子・北京大学准教授は言う。ではそもそもなぜ、中国国内で日本のサブカルチャーはこれまで人気を得ることができたのか。前編、後編にわたり、激変する中国人の日本観を伝える。(『中央公論』2021年6月号より) 日本アニメが衰退を始めた?日本アニメが衰退を始めた? 先日、北京大学で指導している学生が提出してきた卒業論文に、「日本のアニメは衰退を始めたが……」とあり、驚いた。そんなことはないと思う一方で、そう書かれても仕方ないと納得する部分もある。というのもここ数年、日本のサブカルチャーは、中国においてかつてのような影響力を持たなくなっているからだ。 それではなぜ、かつて中国では、日本のサブカルが人気だったのか。 文化大革命が終焉を告げ、中国