さいきんテレビを観ていると、「思い」という言葉がたくさん用いられている。それも、名詞っぽい用いられかただ さいきんテレビを観ていると、「思い」という言葉がたくさん用いられている。それも、名詞っぽい用いられかただ。「何々だと思いました」といった、動詞のことを言っているのではない。たとえば、「その思いを聞きました」、「この仕事にこめた思いとは?」「無人駅の花壇の世話をつづける、何々さんの思い――」といったもの。これについては色々楽しく考えられそうなので覚書をする。 まずそのまえに、おれは物書きである。字を書いて飯を食っている。だから世に流通している言葉には人一倍敏感であることを断っておく。自分の仕事にその感覚を直接反映するかどうかはともかく、世の流れを知っておくのは、たいせつなことだ。燕三条の鋏職人は一年ごとにホームセンターで鋏を買う。おれも新聞を読み、テレビを観、街に出て声を聞く。気がついた