職場では…(AERA 2019年6月24日号より)この記事の写真をすべて見る 発達障害を持つ当事者の苦悩もあれば、共に働くことで生じる苦労もある。職場の本音に耳を傾ければ、「共生」に必要な課題も見えてくる。 * * * うつむき加減の横顔に苦渋がにじんだ。 「しんどい思いをしながら、職場にしがみついています」 20代の男性会社員は2年前、ADHDとASDの診断を受けた。職場ではそのことを伏せたまま働く「クローズ就労」を続けている。男性は、これまでの人生をこう振り返った。 「人並みの努力で人並みの成果を得ることができない。この悩みが原因で、怒りやむなしさも感じています。普通になりたかったし、今も普通になりたい。20年以上こんなコンプレックスを抱えて生きてきました」 小学生の頃から頻繁に学校の連絡事項を聞き逃した。団体行動が苦手で周囲から浮いてしまい、いじめにも遭った。大学生時代、飲食業の