前々回のコラムでは,話題の書籍『ウェブ進化論』(梅田望夫著,ちくま新書)をとりあげ,対話形式で書評らしきものを書かせていただいた。この書籍では,Webが作り出すバーチャルな世界を「あちら側」,Webとユーザーを結びつけるリアルなインターフェース機器を「こちら側」と呼び,「こちら側」から「あちら側」に付加価値が移るとする。日本企業が強みを持っているものづくりを「こちら側」であるとし「『こちら側』のモノはコモディティになる」と書いている。前々回で本書のこうした主張を紹介したところ,いくつかご意見を頂いた。「あちら側・こちら側」という観点を超えて,価値創造のあり方について考察する意見もあった。今回は,こうした意見に答える形で製品の価値をどう創造したらよいかのヒントを考えてみたい。まずはこのご意見から。 ■「あちら側」の重要性が増していくという主張には賛同しますが,「こちら側」のものづくりの全てが