一列に整列し、出発するリムジンバスに深々とお辞儀をする係りの人たち。今年の夏の一時帰国を終え、成田空港へ向かうリムジンバスから見た、新宿のバスターミナルでのワンシーンだ。これはアメリカでは絶対に見ることのできない風景。お辞儀は文化的なものだからおいておくとしても、出発したリムジンバスに手を振るという行為もアメリカの職員はまずしないだろうし、まして一列に並んで全員があわせてするということは考えられない。 礼儀正しいと言えば礼儀正しいのだが、私はこのシーンを見ると、いつも少しだけ胸が苦しくなる。リムジンバス会社の上の人の判断で、「お客様に礼をつくすためにやろう」と決まったことなのか、「バスが出発したら挨拶もしないのか」という変な客のクレームから決められたことなのか、私にはわからない。9割の人が期待どころか注意も払わないことを、確立されてしまった社会通念と会社の方針に基づいて、毎回しなければ職員