ブックマーク / miyukey.hatenablog.com (10)

  • あのころの、私に会えた気がした 井上直久の絵画とわたし - Miyukeyの気まぐれブログ

    浦和の伊勢丹を歩いていたら、ぱっと目に飛び込んできたのは 懐かしい絵。 イバラードの世界 井上直久版画展 用事もそこそこに、7階の美術画廊に足を早めていた。 まだ小学生のときのこと。 母が一冊の画集を買って帰って来た。 仕事の帰りに、ギャラリーの前を通ったら 個展をしていて、その絵があまりに美しかったから 私にも見せたくなって買ってきたのだという。 それは見たこともないほど不思議な絵だった。 ファンタジックだけど、どこか現実とも繋がっている。 深い青、雲の虹色に惹きこまれる。 海のようで、地上のようで、空のような空間。 神秘的な女性が歩いていて、少女が宙を飛ぶ。 商店街には小惑星やラピュタの卵や、見たこともない夢のかけらのようなものが 並んでいる。 「上昇気流」(1990年)<イバラード博物誌> 私は、そのとき、退院したばかりだった。 まだ体調が悪くて、あまり起き上がれなかったけれど、 ベ

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  • 蜷川実花が写す「いま」の輝き 東京都庭園美術館「蜷川実花 瞬く光の庭」展 - Miyukeyの気まぐれブログ

    東京都庭園美術館で、現在、開催中の「蜷川実花 瞬く光の庭」展。 コロナ感染も広がる一方で不安もありましたが、 私が大好きな蜷川実花×庭園美術館!となると、行かないわけにはいきません。 一瞬一瞬の「生」のきらめきを蜷川実花さんならではの感性で 切り取った写真と、 庭園美術館の建築物とのコントラストが素晴らしい展覧会です☆ どうぞ最後までお付き合いくださいね。 1、大広間を彩る蜷川実花ワールド 猛暑・・・暑さに少々バテながら到着しましたが、 入った瞬間、その美しさに笑顔になりました。 何回も観てきた大広間が、全く違う空間に思える! 今回の展覧会は、2021年から2022年に撮影された 花の写真展です。 4万枚もの写真から選び抜かれた作品は、どれも新作ばかり。 ラジエーターと写真との組み合わせも素敵。 今回の展覧会で展示される作品の被写体は、 庭園や公園、植物園など、「人間が世話をしてきた植物」

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  • 栄光と孤独が生み出す絵画 「シアトル→パリ 田中保とその時代」展(埼玉県立近代美術館)を観て - Miyukeyの気まぐれブログ

    田中 保(たなか・やすし)という画家を知っていますか? 私は、埼玉に引っ越して来てから、初めて知りました。 美しさの中に垣間見られる孤独と、寂し気な光に魅せられ 私は、その名前を忘れられませんでした。 私が初めて観た田中保の絵「サン・ベネゼ橋  」(1928年) 埼玉県立近代美術館で25年ぶりに 田中保の回顧展が開催されるというので訪れました。 「シアトル→パリ 田中保とその時代」展。 (現在、開催中  2022年 10月2日まで) 時代に翻弄された田中保の人生と作品の魅力を 十分に味わえる素晴らしい展覧会でした。 1、田中保の描く女性は・・・ 「水浴」(1915-19年) 田中保は女性をモデルにたくさんの絵画を残しました。 美しさの中に、ふっと垣間見られる 一抹の悲しさや孤独感といったものが なによりも観る者の心に訴えかけるのだと思います。 田中保の人生に最も影響を与えたと思われる女性は

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  • 私の人生の曲がり角は(近況報告) - Miyukeyの気まぐれブログ

    戻り梅雨でじめじめとした天気が続いていますね。 前回の記事から、ずいぶん間が空いてしまいました。 その間、日には衝撃的なニュースが駆け抜け、 悲しみと驚きに包まれたり またコロナ第七波が急拡大したりと、 様々な出来事がありました。 前回は人生の「曲がり角」について書いたのですが、 今回は最近、私が遭遇した3つの曲がり角について書きたいと思います。 (つまり、近況報告です^^:) 最後までお付き合いお願いいたします。 ①年を重ねるという「曲がり角」 人間は生きている限り、年を取っていきます。 「誕生日」に対して、幼い頃や若い頃のような胸のときめき、 期待感、嬉しさはなくなっていき 「ひとつ年を取る」ということに対し、 後ろ向きな気持ちを持ちがちです。 私も、例外ではなく・・・^^ 紫陽花の蕾が膨らみ始め、誕生日が近づくと、 またひとつ年を重ねることへの焦燥感と不安が・・・ でも、そんなとき

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  • 五感を全開にして感じたい江國香織の短編集「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」を読む - Miyukeyの気まぐれブログ

    ゆっくりと静かに身体中を満たしてくれるドロップスの缶のような短編集、「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」。 江國香織さんのを買うということは、 「を買う」というより「空気を買う」と言ったほうが良い気がする。 文字が書いてある紙の束を買うというよりは、 文字と文字の間の余白に漂う、ゆったりと流れる独特の空気感を。 向う見ずな幸福と、熱い熱い空気が流れる 「うんとお腹をすかせてきてね」。 ただ純粋に恋する気持ちに正直であり、 相手を強く求める欲望に従順であることの大切さに 気付かせてくれるラブストーリー。 海の風や波の音、日向の匂いが溢れるように感じられる 美しい描写で満ちた「サマーブランケット」。 「世界からはずれてしまっていた」女の子が主人公の「ジェーン」。 人との出会い、そして別れ。 一生のうちで、一時の短い時間を共有した、もう二度と会わない人々。 別れがあるから一瞬一瞬は輝かし

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  • 曲がり角は、神様のものじゃない 長田弘「私の好きな孤独」 - Miyukeyの気まぐれブログ

    長田弘さんのエッセイ「私の好きな孤独」は 題名に惹かれて読みました。 長田弘さんの紡ぐ文章は、 詩人だからこその言葉の選び方、感性に驚かされます。 簡潔な文章の中にこそ宿る、言葉のひとつひとつの持つ重さや美しさ。 一編が2~3ページという短いエッセイやストーリーが、 胸を震わせ、深く心に残ります。 孤独と孤立は別物。 たくさんの人と一緒にいても、「ひとりぼっちだ」と感じてしまうこともあれば 一人でいても、この世界のどこかにいる誰か、何かとの 繋がりを感じることもあります。 長田弘さんは、自分の「孤独」をまるで大切な友人のように 大切にしている人だと思いました。 そして、他者の「孤独」もまた、親しく美しく 鮮明に描き出しているのです。 「ひとり」でいることは、寂しさと隣合わせではない、 それを心から楽しむこと。 そして人生を彩ってくれる様々な愛するもの(音楽、カフェ) とともに生きること

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  • 家の記憶 - Miyukeyの気まぐれブログ

    家に帰ったら、誰もいなくても「ただいま」と言ったほうがいいと どこかで読んで、最近、そうしている。 実家にいた頃は、常に誰かが迎えてくれたけれど、 今は夫が帰るまで、私ひとり。 ガランとした家に向かって「ただいま」と言うとき 私は誰に挨拶しているんだろうと思う。 もしかして、家に、かな・・・? もし家というものに記憶があったなら そして、もし話せたなら、面白いだろうと思う。 まずは自分の実家の家と話してみたい。 私が赤ん坊のときから、ずっとずっと見守ってくれていた家。 「大きくなったもんだねえ、ついこの間、 あそこの門からママに抱かれて入って来たと思ったのにね」 祖母が目を細めながらそう言う度、 私は庭の門を振り返る。 生まれたばかりの私を迎えた門は 成長していく私を、どんなふうに見ていたのかな。 もし家と話せたなら、祖母や母が若かったときのこと 私が生まれる前に亡くなって一度も会えなかっ

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  • わくわくが止まらない!「上野リチ展」 笑顔になれる最強デザイン - Miyukeyの気まぐれブログ

    最近、何にワクワクしましたか? 胸が高鳴る経験をしましたか? 最初から最後まで、ずっとワクワクしっぱなし、 胸がときめいて、ついつい笑顔になれる・・・ そんな魔法のような「上野リチ ウィーンからきたデザイン・ファンタジー展」   へ行って来ました。 東京都 三菱一号館で、現在開催中です。(2022年5月15日まで) もう行った方も、行く予定の方も、興味のない方も、 元気が出ること間違いなしの上野リチ作品をご紹介しますので 最後までお付き合いください。 1、上野リチ・マジックに魅せられて ボンボン2     1925-1935 展示室に入るなり、「わぁー」と声を上げたくなるような カラフルでかわいいデザインに、 思わず笑顔がこぼれます。 絵画作品を観て感じる「感動」とは、また違う・・・ どんなに心が曇っていようと、見る人の心を元気にしてしまう力が 上野リチ作品にはあるのです。 だから、没後半

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    Yugure_Suifuyou
    Yugure_Suifuyou 2022/04/23
    Miyukeyさんの素敵な紹介文と共に上野リチさんの世界を堪能しました。「自由」と「独創性」を大切にしたリチさんらしい色使いに魅せられました。素晴らしい世界に導いてくださったMiyukeyさん、ありがとうございます!
  • 今村夏子の小説「星の子」から宗教の闇について考える - Miyukeyの気まぐれブログ

    「宗教」と聞いて、何を思い浮かべますか。 ある人にとっては心の支えや救いになるもの、 でも、宗教によっては、人生を破壊してしまうほどの 恐ろしい力を持つものでもあります。 今回は、病弱な娘を助けたい一心で あやしい宗教にのめりこんでしまった夫婦を両親に持つ 女の子の日常を切り取った小説 今村夏子さんの「星の子」をご紹介します。 星の子 (朝日文庫) 作者:今村 夏子 朝日新聞出版 Amazon ☆ 映画化もされていますが、今回は小説のご紹介です。 (「星の子」の映画はこちら↓↓) 星の子 通常版 [Blu-ray] 芦田愛菜 Amazon ↓↓ ☆「時間を忘れて読みふけりたい人のための」という見出しで、 こちらの記事でもご紹介しましたが、今回は、もう少し詳しく書きたいと思います。↓↓ miyukey.hatenablog.com 1、「星の子」 ストーリー 林ちひろは、中学3年生。 出生

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  • 「コレクション 4つの水紋」展(埼玉県立近代美術館)☆画家たちが描く水の表情に圧倒される - Miyukeyの気まぐれブログ

    桜の季節もあっという間に過ぎ 早くも新緑がきらめく季節になりました。 夕方になると、さっと冷たい風が吹いて、 あ、そうだ、まだ四月だったんだ、と気付かされたり・・・ そんな週末、ぶらりとアート散歩に出かけました。 埼玉県立美術館の企画展「4つの水紋」(2021年5月16日まで)。 4人の画家を起点として、関連のある絵画や連想される作品を集めた 非常に見応えのある展覧会でした。 埼玉にお住まいの方はもちろん、 行く予定はない!という方にも、 展覧会の作品群の素晴らしさを 少しでもシェアできましたら嬉しいです。 ↓↓埼玉県立近代美術館の館内・常設展・屋外展示場につきましては こちらの過去記事で書きました。宜しければご覧ください。↓↓ miyukey.hatenablog.com 1、画家たちが見つめた水面 たゆたう川の流れと空の色が美しい一作。川沿いに佇む恋人たちは何をささやいているのだろう?

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