広島大の島田昌之准教授などの研究グループは24日、凍結保存した豚の精液を使った新たな人工授精法を開発したと発表した。 従来より飛躍的に高い繁殖成績を残し、実用化に道を開く成果。口蹄疫(こうていえき)などの感染拡大に備えた純血種の保存が可能になるという。 精子の凍結保存は牛で行われているが、豚の精子は凍結保存する際、壊れるなど精子が死滅しやすく、それが実用化を阻んでいた。 研究グループは、精子の死滅を極力小さくするためまず精液に含まれる細菌を遠心分離により除去。さらに精子内の水分が、細胞を傷つける大きな氷にならないよう処理した。受精時には免疫反応を抑えるホルモンなどを混ぜた人工精液を開発した。こうした様々な工夫で、精子の死滅は大幅に減少し、人工授精の成功率は、自然交配とほぼ同じの8割に達した。 島田准教授は「感染症が流行した時に、優良な遺伝資源を保存できる」と語る。既に、大分県農林水産研究指