パナソニックという会社は、創業者である故松下幸之助氏を抜きに語れない。 今でも社員は、毎朝の「朝会」で幸之助の理念を唱和し、「所感発表」と称して皆の前で日頃感じていることをスピーチする。 また、実際の創業は1918年3月7日だが、幸之助が1932年に「250年計画」を発表した5月5日は「創業命知日」として、同社には2つの創業日が制定されている。250年計画 とは、幸之助が水道哲学として当時の社員に発表した考えで、250年かけてこの世から貧困をなくす、という壮大な思想だ。 「生産に次ぐ生産で、物資を水道の水のごとく無尽蔵たらしめ、もって楽土を建設せん」と、当時会場だった大阪・堂島の中央電気倶楽部で幸之助が声を響かせると、「その崇高な使命、遠大な理想に全員は驚き、感動した。緊張した会場は、いつしか興奮のるつぼと化した」と伝えられている。 幸之助は「人を大事にする」エピソードでも有名だ。1929