東京電力福島第1原発の事故収束に向けた「生命線」としての意味を持ち、本格稼働を始めたばかりの汚染水浄化システムの停止。浄化した水を原子炉へ戻して冷やす「循環注水冷却」を目前にしてのつまずきにも、東電は「数日中には再開できる」と自信をみせる。しかし、装置はトラブル続きで、増え続ける汚染水が海など外部へ流出する危険が刻々と迫る。(原子力取材班) ■想定外 「大きな一歩。本当に良かった」 17日夜に行われた新工程表の公表会見。システム本格稼働を東電から伝えられ、政府・東電統合対策室事務局長、細野豪志首相補佐官は安堵(あんど)の表情だった。 だが、そのわずか数時間後にシステムは停止。東電は「トラブルではない」とはいうが、「想定外の事態」だったことは認める。 原子炉建屋やタービン建屋の地下などにたまった汚染水の総量はすでに約11万トン。原子炉冷却のための注水はそのほとんどが漏れ出し、毎日約500トン