「収録されているのはいずれも、科学エッセイとして最高レベルの逸品ばかりだ──科学的に正確で、今日的で、驚きや発見と深い洞察、数学へのほんものの愛情に溢れている。描かれる世界のひろがりもすばらしい。テーマは、ストラスブールの万年時計、ランダムさ、貧困、戦争、地理学、遺伝学、歯車比、分割問題、命名法、群論、そして、等号のあいまいさ……退屈なページなど、一ページもない。」(M・ガードナー) アルゴリズムの性質やシンメトリーをいかした思考実験など、数学や数理科学ならではの機知を愉しむ十二編。科学を歪めることなしに数学的思考ツールの魅力を引きだし,一次文献はもちろん、ときにはコンピュータの力も借りて、素朴な疑問の奥にひそむ数理科学の愉しさを垣間見せてくれる。 各編に興味深い趣向がほどこされている。たとえば万年時計についての瞑想が、環境危機をめぐる現在の社会心理の一面を映しだす、といった具合。共感した