鼻炎などで鼻詰まりが起きると、詰まった側の鼻でにおいをかげなくなるが、こうした時にもう片方の鼻からの情報を集めるため、脳がにおい知覚の領域の働きを素早く切り替えていることが東京大大学院の研究で分かった。論文は12日付の米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンスに掲載された。 ヒトを含めた哺乳(ほにゅう)類では、においは大脳の嗅皮質(きゅうひしつ)と呼ばれる左右一対の領域で知覚される。左右の鼻から入ったにおいの情報は別々に処理され、左脳の嗅皮質は左鼻からの、右脳の嗅皮質は右からのにおいを主に知覚する。 東大大学院医学研究科の大学院生菊田周さんらは、ラットを使って左右の嗅皮質の神経細胞の反応を計測。通常時は、においが入ってくる側と同じ側の神経細胞が反応するが、片鼻を閉じると数分の間に変化が起こり、閉じた側の神経細胞の約3割が、反対側の鼻からのにおい情報に反応するようになった。 論文の共