7年前、世界最悪レベルの事故を起こした、東京電力福島第一原子力発電所。事故直後、極めて高い放射線量の下、命の危険もある中で収束作業にあたり、「英雄」と称賛された人たちがいた。その年に作業にあたったのはおよそ2万人。こうした人たちを対象に、国は健康状態を追跡する調査を行ってきた。ところが調査に応じていない人が6割を超えていることが分かった。いったいなぜ。取材を進めると、ある元原発作業員がこうつぶやいた。 「私らみたいなのは、切り捨てなんですよ。それで命を懸けていたのかと言ったら、ほんと情けないですね」 浮かび上がったのは、「英雄」とはかけ離れた現実だった。 相次ぐ“拒否” 原発作業員2万人の健康調査 原発作業員の被ばく線量の上限は、通常1年間で50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルト、緊急時は作業の期間中100ミリシーベルトと定められていた。それが福島第一原発の事故直後は、特例措置と