いやはや正月早々大変な目にあってしまった。お屠蘇気分でほいほいやっつけてみようと本書を読み始めたのだが、意外にも内容がこってりと濃く、たっぷり時間をかけて楽しむことになった。つまり、しばらくかかりっきりになったのである。それどころかあまりの面白さに、本書が取り上げている書籍を14冊も買ってしまったのだ。大散財である。そのほとんどが絶版なので、とりあえず買うことができるうちに古本を買ったのだ。本書の読者が増えるにつれ、市中相場は上がるであろうから必死である。そして、そのうちの何冊かをリファランス的に読みはじめてしまったのだ。HONZは新刊しか紹介しないので、もはや営業妨害である。 本書は17人の生命科学者の伝記本を紹介するというシンプルな構成だ。『細胞工学』という専門誌に20回にわたって掲載されていた記事をまとめたものだがから、すべての章は読み切りだ。取り上げられている生命科学者は野口英世、
著者は、アメリカではベストセラー連発のサイエンス・ライター。サイエンスといっても真面目で骨太な作品をものすのではなく、センス溢れる文章に笑えるコネタを挟み込み、実にアメリカっぽいレトリックで軽快に語る楽しい作品を生み出してきた。取り上げてきたテーマも変わっていて、まずは死体をめぐるルポを書き、続いて霊魂 そしてセックス ときて、今度は「宇宙開発」である。 宇宙においては、人間は極めてスペックが低い装置だ。「気まぐれな代謝作用、貧弱なメモリー量、統一規格の存在しない形状にサイズ」のできそこないを、どうにかして宇宙空間に送り出すための苦労と努力を彼女は追う。 例えば狭く、うるさく、熱く、汚い閉鎖空間にずっと居続けることに人は耐えられるのか。ロシアのミールに滞在したユーリ・ロマネンコは、情緒不安定になり、アレクサンドル・ラヴェイキンは抑うつ状態に陥って、自殺を考えるようになる。 精神以前の問題と
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