2010年に読んで一番面白かった本を発表します。昨年は気の迷いで「ニナ文藝賞」などという講談社あたりが主催しそうな名前をでっち上げましたが、ちょっと悲しくなるほどださい上に、代替案も特に見つからないので、今年は単に「一番面白かった本」とします。 「好きな作家ベスト100」を挙げたときにも書いたとおり、今年は読んでいる冊数が例年に比べて遙かに少なかったものの、印象に残っている本を思い返してみるとその数は決して少なくはなく、ずいぶんと選書に恵まれた感があります。そんな良書たちの中からわざわざ一冊を決める必要などまるでないのですが、お祭り行事ということで無理をして選んでみました。 まずは最終候補に残った作品から。引用文は印象に残っているものの内、特に気に入っているものを一節だけ選び出しました。 ・ミゲル・デ・セルバンテス『ドン・キホーテ』 「否でも応でも狂人だってやつと、自分からすき好んで狂人に