イラスト:栗生ゑゐこ 森ビルは、東京・港区を中心に不動産を所有し、六本木ヒルズを代表とするような「街」を創造する不動産会社であり、時代を先駆けた街づくりを主導してきた。森ビルが手掛けた街や建物を見ると、「センスのよい不動産会社」であるだけのように思われるが、街の再開発には住民による「反対運動」への対処を迫られたこともあった。住民の反対運動とどのように向き合い、乗り越えていったのだろうか。 ※本稿は、『20社のV字回復でわかる「危機の乗り越え方」図鑑』(日経BP)の内容を抜粋・編集したものです。 住民の大反対により再開発継続の危機に直面する 都心部の人口が減り続けた影響から、都市再開発法の制定は言い換えれば大規模な再開発が実施しやすい時代の到来でした。その時代の潮流を敏感に感じ取った経営者が、森ビルの設立者・森泰吉郎氏です。 1955年、森氏は森不動産を設立してビル経営に参入し、1960年代