アルバムのリリースに先駆け、全世界のiTunes Storeの利用者に無料配信されたことでも大きな話題を呼んだ通算13作目。前作『No Line on the Horizon』から5年以上の歳月を要した本作だが、そのブランクを微塵も感じさせない勢いと疾走感を兼ね備えたアルバムに仕上がっている。2000年代のU2の集大成として高い完成度を誇る前作に対して、より直感的なアプローチでバンドがレコーディングに臨んだことが窺える。ひしゃげたディストーションギターが『War』の時代のU2を彷彿させる「The Miracle (Of Joey Ramone)」では、その名の通りラモーンズのJOEY RAMONEをトリビュートしており、タイトルに「Innocence」と冠したことも含めて、本作ではパンクに象徴される初期衝動がテーマの一つだといえるのではないだろうか。プロデューサー陣は2010年代にふさわし