金融庁が来年夏にも検査局を廃止して監督局に統合すると報じられている。 この背景には、金融庁の考え方が従来と変わってきていることがある。それを探るには、昨年8月22日に設置された「金融モニタリング有識者会議」の議論をみるといい。これはいつものことだが、外部の有識者を使って役所の考え方を少しずつ出してゆくために審議会を利用するというのは常套(じょうとう)手段である。その意味で、この有識者会合の議論には、金融庁の考え方がにじみ出ているといえる。 有識者会議は、6回の議論を経て今年3月17日、「検査・監督改革の方向と課題」という報告書を出している。もちろん、これは金融庁の事務方の作であり、金融庁の考え方そのものということもできるだろう。 報告書の内容を一言でいえば、これを報じた日本経済新聞の見出しにもあった「処分庁から育成庁へ」が一番ふさわしい。簡単にいえば、金融検査をほどほどにして、対話型監督行