第五話「戻れない事」 また一日が過ぎた。畑仕事が終わり、家族で食事を済ませ、弟も寝入った。 私は寝床からそっと抜け出し、外に出る。今夜は小雨が降っている。セピイおばさんの話を聞いているうちに本降りになりそうだわ。 で、今回セピイおばさんが指定した離れは、家から三番目だったりする。我が家の離れと、セピイおばさんの離れ四軒。計五軒、並んだうちの真ん中。 家からは分かりにくいが、近づいてみると、やはり薄らと明かりが漏れている。ごく小さく扉を叩いて、セピイおばさんに開けてもらう。 二人して、周りをよく確認した。小雨を降らす空は真っ暗で、林の中もよく見えない。誰かが木に隠れていたとしても、向こうからだって見えにくいだろう。 そう期待して離れに入ったら、数秒もかからずに本降りになった。 「どうやら神様も味方してくださっているようだね」 セピイおばさんは床にロウソクの皿を置きながら、言った。昨夜と同じや