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  • 自作小説「塔の上のセピイ  〜中世キリスト教社会の城女中の話」第五話 - 紋章のような

    第五話「戻れない事」 また一日が過ぎた。畑仕事が終わり、家族で事を済ませ、弟も寝入った。 私は寝床からそっと抜け出し、外に出る。今夜は小雨が降っている。セピイおばさんの話を聞いているうちに降りになりそうだわ。 で、今回セピイおばさんが指定した離れは、家から三番目だったりする。我が家の離れと、セピイおばさんの離れ四軒。計五軒、並んだうちの真ん中。 家からは分かりにくいが、近づいてみると、やはり薄らと明かりが漏れている。ごく小さく扉を叩いて、セピイおばさんに開けてもらう。 二人して、周りをよく確認した。小雨を降らす空は真っ暗で、林の中もよく見えない。誰かが木に隠れていたとしても、向こうからだって見えにくいだろう。 そう期待して離れに入ったら、数秒もかからずに降りになった。 「どうやら神様も味方してくださっているようだね」 セピイおばさんは床にロウソクの皿を置きながら、言った。昨夜と同じや

    自作小説「塔の上のセピイ  〜中世キリスト教社会の城女中の話」第五話 - 紋章のような
    a91n52
    a91n52 2024/08/12
    ジルフィネン家の紋章、とても素敵です!配色、デザイン、惹かれます✨こちらを読んだら続きが気になって、すぐに第六話を読んでしまいました!
  • 自作小説「塔の上のセピイ  〜中世キリスト教社会の城女中の話」第六話(全十九話の予定) - 紋章のような

    第六話 意に沿わぬ振る舞い 「では、話させてもらうよ。 次の日、お勉強とかが終わると、ヒーナ様は私とベイジに『昨日の塔に行こう』と言い出した。スネーシカ姉さんが隠れて、泣いていた場所。そこなら大事な話ができる、と。 三人で塔の螺旋階段に入る前に、ヒーナ様が兵士を一人、引っぱってきた。階段の入り口で見張りをするよう、言いつけてね。『女同士の話に聞き耳を立てたりしないでしょうね。そういうことは、男として恥ずべきことと思いなさい』とか釘を刺した。その兵士は固まっていたよ。 階段を登って、塔の上に出ると、町並みをよく見渡せた。そうだ、思い出した。あの時は二日続けて、雲一つ無い青空だったんだ。こっちは、あんな辛い話を知らされたのにね。お天道様は知らんぷりかって気分だったよ。だから私だけじゃなく、ヒーナ様もベイジも、心ん中じゃ、雲が立ちこめまくっていただろう。 ヒーナ様は大して景色も楽しまないで、私と

    自作小説「塔の上のセピイ  〜中世キリスト教社会の城女中の話」第六話(全十九話の予定) - 紋章のような
    a91n52
    a91n52 2024/08/11
    予想外の展開でした。面白いですね。セピイおばさんとソレイトナックの今後の展開が気になります✨
  • 自作小説「塔の上のセピイ  〜中世キリスト教社会の城女中の話」第四話 - 紋章のような

    第四話「城の中」 次の日は、ちょっと、きつかった。と言うか、やはり眠たかった。なぜなら、セピイおばさんと別れて部屋に戻った後も、なかなか寝付けなかったから。 おばさんの話で私の頭は、ぎゅう詰めの袋みたいになっている気分だった。しかも、ちょっとでも突っついたら、破裂して中の豆なんかが飛び散りそうな。 覚悟していたつもりだったけど。予想以上の内容だったなあ。セピイおばさんが女中になったいきさつだけを聞くつもりが、その前に、おばさんの初恋や初体験まで聞く羽目になるなんて。お互い、赤面ものだ。 しかも、あまりいいもんじゃないらしい。まあ、そういう声は他でも耳にしていたけど。私としては、かえって恐怖心が増した気がする。 私はそのことでセピイおばさんを恨むつもりは無いけど、神様には文句を言いたい。何で世の中を、女と男をこんな作りにしたのか。何で女がこんな思いをしなきゃならないのか、と。 しかし、だから

    自作小説「塔の上のセピイ  〜中世キリスト教社会の城女中の話」第四話 - 紋章のような
    a91n52
    a91n52 2024/07/30
    面白いですね✨ビッサビア様がセビイを怒った気持ちよくわかります。ヴィクトルカ姉さんを助けたかった気持ちは理解できますが、身代わりなんてやってはダメです。自分を大切にしないと!ゲスタスはクズですね。
  • 自作小説「塔の上のセピイ  〜中世キリスト教社会の城女中の話」第三話 - 紋章のような

    第三話「いきさつ」 「では観念して、一つだけ話すとするか。 そうだね。まず初めは、私がヌビ家の女中になった、いきさつがいいだろう」 「そう、それっ。そういうのが聞きたかったの」 「ほら、また声が大きいよ。ちゃんと話すから待ちなさい。 私がヌビ家の女中になったのはね、一言で言えば、だまされたんだよ」 「だっ、だまされたの?」 私は何とか声量を抑えたが、裏返るのは止められなかった。 「ヌビ家みたいな上級貴族の女中なんて、頼めるもんなら、自分から頼みたいくらいなのに」 「プルーデンス」 「おばさん、待って。分かってるから。母さんにも言わないし、外でも言わないから、今だけは言わせて。 でも、とにかく、なりたくてもなれるようなものじゃないでしょ。それをヌビ家は、おばさんをだましてでも女中にしたかったってこと?それくらい、おばさんは見込まれたってことじゃない」 「べつにヌビ家は、私を見込んだわけじゃな

    自作小説「塔の上のセピイ  〜中世キリスト教社会の城女中の話」第三話 - 紋章のような
    a91n52
    a91n52 2024/07/23
    お話、面白くて引き込まれました。私だったらソレイトナックさんのことを信じることができるだろうか..?と思わず考え込んでしまいました。続き、楽しみにしています。
  • 自作小説「塔の上のセピイ  〜中世キリスト教社会の城女中の話」第一話 - 紋章のような

    第一話「大叔母の帰郷」 もうそろそろ、セピイおばさんが村に帰ってくるはずだ。一年以上も前から、おばさんは手紙で、うちの父さんに指示を出していたんだから。 「たくさんの土産物があるので、離れを建て増ししておきなさい」 父さんは急いで村の男たちを動員して、実行したわ。おかげで我が家の裏手には、離れが、なんと四つも増えた。今すでにある離れ以外に、四つ。どんだけの土産物が来るんだろう、と私も驚いたし、村の連中も注目している。 先月は雪が降る中、おばさんのお使いの男がやって来た。離れのでき具合を確かめるため。男は父さんたちに案内させて、一軒ずつ中を調べていたわ。時々、手に持った羊皮紙に何か書きつけていた。広さはもちろん、何を置くかなどの予定も書いていたんだと思う。父さんはこのお使いの男を、ヌビ家に出入りしている商人の手代と言っていた。 それはともかく、離れは完成したのだ。つまり、セピイおばさんをお迎

    自作小説「塔の上のセピイ  〜中世キリスト教社会の城女中の話」第一話 - 紋章のような
    a91n52
    a91n52 2024/07/14
    色々と情景が浮かんできました。登場人物達の声も聞こえてくる感じがしました。小説を書けるなんてすごいですね。続きを楽しみにしています✨
  • 我が目論み。最近、考えている事・・・・自作小説の発表。 - 紋章のような

    ご無沙汰しております。 大変、長いこと、ご無沙汰しております。 中には、この私めをお忘れの方もいらっしゃるでしょう。 当然です。私から責めたりしません。責めるなんて滅相もない。 久しぶり過ぎて、記事の書き方もダッシュボードの使い方も、なかなか思い出せなかったくらいなのですから。 自分でも、このブログを今後どうしたものか、と持て余す日々。 どうしよう。 自分はここで何ができるのか。 というより、自分はここで何がしたいのか。 いろいろ考えているうちに、 一つ、やってみようかな、と思える事が浮かんできました。 (自作した小説を、この場を借りて発表する) 書いた小説をここにアップしてみよう。 ううううう、やりたい。 自作した小説を発表して、読んでもらいたい。 って、どんな小説かというと。 ・紋章が、ちょっと絡んできます ・中世ヨーロッパ風の架空の国です。 ・でも、魔法はありません。 ・暴力的な描写

    我が目論み。最近、考えている事・・・・自作小説の発表。 - 紋章のような
    a91n52
    a91n52 2024/07/12
    お久しぶりです。お元気にされていましたか?小説を書かれていたのですね。楽しみにしています✨
  • 取り急ぎ、鳥だけに - 紋章のような

    ぴーちゃんさんに約束しておきながら、 あっという間に5月に入ってしまった。 よって、急いでアップしておきます。 まずは、お約束の孔雀 前回みたいに仰々しくしませんぞ。 も一つ。 働き者のつばめ達 と、こんな感じで、 みんなのゴールデンウィークが爽やかになりますように。 では、また〜。

    取り急ぎ、鳥だけに - 紋章のような
    a91n52
    a91n52 2023/05/05
    素敵なデザインですね✨
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