ロケットエンジンを動力源とした航空機の開発は1920年代には各国で行われていたものの、初期のロケットエンジンは燃焼の制御が難しく、実験は常に爆発の危険が伴うものであった。1937年にドイツのヴェルナー・フォン・ブラウンがエチルアルコールと液体酸素を推進剤とした推力300kgの液体燃料ロケット A1を開発すると、これに着目したハインケル社のエルンスト・ハインケル博士により、Bf 109との制式採用争いに敗れた自社の単発単座レシプロ機 He 112 にこれを搭載した。 1937年6月には離陸から着陸まで全てをロケット動力のみで行う純粋なロケット飛行に世界に先駆けて成功し、ロケット飛行機の実用化に先鞭を付けた。 Me163誕生のきっかけは1938年、ドイツ滑空機研究所のアレクサンダー・リピッシュが製作した無尾翼モーターグライダー機DFS 39に、ヘルムート・ヴァルターの開発する高濃度の過酸化水素