『学生の科学』昭和17年2月号 人間魚雷「回天」といえば、「大東亜戦争」末期に投入された決死の特攻兵器。回天の実物は、靖国神社に展示されている。まさに走る棺桶で、大きな土管(直径約1メートル)にも似た狭苦しい艇体にゾッとする。 昭和18年12月に旧海軍の黒木中尉、仁科少尉の2人が人間魚雷兵器を着想、同月その計画を海軍省へ上申したとされているが、実はその1年前に一学生が人間魚雷を「発明」していた。 青少年向け科学雑誌『学生の科学』昭和17年4月号(誠文堂新光社刊)の読者発明コンテスト「私の発明」コーナーに掲載されているのが右の図。 ちなみにこの回の入選は「ファスナーによる歯車製造法」。開戦後4ヵ月というのに、えらくノンキな発明である。この「人間魚雷」案は惜しくも選外となったようだが、評者によって解説・講評がつけられている。 「平田修君の『人間魚雷』は(中略)魚雷の形をした舟艇には操縦士が一人