2010年08月08日16:53 カテゴリ本科学/文化 「空気」の研究 日本人の幸福度は、アンケート調査では世界の平均程度だが、「不幸度」を自殺率ではかるとすると、主要国で群を抜いてトップである。この原因はよくわからないが、1998年の金融危機のとき35%も増えたことから考えると、失業と倒産が大きいことは明らかだ。しかし失業率と自殺率に高い相関があるのは日本の特徴で、手厚い失業給付のある北欧では両者にほとんど相関がない。 これは日本では、労働が単なる所得を得る手段ではなく、会社が人格の一部になっているためだろう。つまり1990年代後半に戦後の日本を満たしていた平和な「空気」が壊れ、失業者は単に所得を失うだけではなく、自分の存在そのものが否定されたと思い込んだのではないか。 本書は、こうした問題を論じたエッセイである。大戦末期に戦艦大和の特攻出撃を命じた軍令部次長の小沢治三郎中将が、戦後にな
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