東南アジアの労働者にとって、日本は稼げる国の代表格だ。国際労働機関(ILO)の統計によると2015年の日本の平均月給は約33万円で、同年末の為替レートで比較すると中国の3倍以上、ベトナムとフィリピンの約13倍だった。 政府が6月に策定した骨太方針では、一定の専門性と技能を持った外国人材を受け入れると明記した。「移民政策とは異なる」とするものの、人手不足が深刻な業種のため受け入れ制度を整える。新たな在留資格の運用は来年4月に開始される予定。 経済財政諮問会議の民間議員を務める伊藤元重学習院大教授は10日のインタビューで、中国はすでに「中所得国」となっているが、ベトナムなどの東南アジア諸国の所得は低水準にとどまっており、日本にとっての潜在的な労働力は「潤沢にある」と分析した。伊藤氏は介護分野の外国人材が持つ技能は「日本にとって本当に大事なスキル」とみており、受け入れを進めるべきだと提言する。