1995年のテレビアニメ放映以降、日本カルチャー史に鮮烈な印象と議論を与え続けてきたエヴァンゲリオン。2007年に始まったリメイク「新劇場版」の第3作「Q」から9年、ついにシリーズ完結作『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』が公開された。 テレビアニメ〜旧劇場版の「旧シリーズ」、そして今回完結した「新劇場版」の両者で物語の軸になっていたのが「自己」と「他者」。この描かれ方はリメイクを通してどのように変わったのか? 原子力からポップカルチャーまで広大なテーマを扱う気鋭の哲学者・戸谷洋志が「責任」をキーワードにその変化と意味を論じる。 2021年3月『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(以下、「シンエヴァ」)が公開され、大きな話題を集めている。四半世紀にわたるエヴァンゲリオン・シリーズの完結編である本作は、公開初日の興行収入は8億277万4200円、観客動員数53万9623人を記録した。 作