第57回 「やらせ問題」で見えた貧困なる日本の法案づくり 経営コンサルタント 大前 研一氏 2006年12月6日 文部科学省の「やらせ問題」が野党からやり玉に挙げられていることが大きく報じられている。この事件で「タウンミーティング」という言葉を知った人もかなり多いのではないだろうか。タウンミーティングとは、政府主導で開催された国会議員や政府の人間、有識者が市民と直接対話できる場のことだ。 その本来の趣旨からして、広く(すなわち偏りなく)市民の意見を集めるのは当然のことだ。だから、あらかじめ質問してほしいことを依頼して発言してもらっていたなどはもってのほかなのだが、その後も出るわ出るわ、やらせを引き受けたサクラに謝礼金を払っていたとか、参加市民が少ないからといって公務員が大量に出席していたとか、様々な問題が噴出しているのである。また某広告代理店がこれを演出し、“先生用に”黒塗りのハイヤ